大判例

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大阪高等裁判所 昭和28年(う)2419号 判決

原判示によると被告人は昭和二十八年四月十九日施行せられた衆議院議員選挙に際して、京都府第二区から立候補した中野武雄の当選を得させるため同月十三日京都府久世郡城陽町所在の長池公会堂で開かれた同候補の個人演説会において選挙人である原判示森川久次外約五十名の聴衆に対し城陽町の久世中学校は大久保村にあるため、これに通学する長池青谷居住の中学生は国鉄奈良線を利用しているが奈良線は運転回数が少いので通学に不便である。よつて同線を電化又はガソリンカー運転にしなければならない。これがためには地元の中野候補を当選させるよう応援して貰いたい旨の演説をしたものであつて、国鉄奈良線の電化又はガソリンカー運転による運転回数の増加が地方的に特殊の直接利害関係を有する事項であることは多言を要しないから、被告人の原判示所為は正しく公職選挙法第二百二十一条第一項第二号所定の特殊利害誘導罪に該るものといわねばならない。もつとも原審公判廷における証人畑中和三郎の供述及び日本国有鉄道運転局長から中野武雄に宛てた昭和二十八年十一月十二日附書面の記載によると、国鉄当局が昭和二十七年度に奈良線をデイゼル動車運転候補地区として調査し、昭和二十八年度には、その運転開始の計画をしていたことが認められるのであるが、右計画が所論の如く確定的のものであつたにしてもその具体的な実施方法、時期等については勿論右計画さえ当時において一般衆知の事実でなかつたことは前記畑中証人の供述によりこれを推知し得るばかりでなく、現実に実施せられるまでは衆議院議員として尚将来右計画の実施に関し、既定方針を変更して実施の時期を繰上げるとか運転回数を更に増加することに尽力する余地なしとしないから、前記の如き計画が既に国鉄当局において樹てられていたことは被告人の本件犯罪の成否に影響を及ぼさないものと解するを相当とすべく、所論は独自の見解の下に犯罪の成立を否定するものであつて左袒し難い。

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